近年、ナンピンマーチンゲールのEAやPAMM/MAMで集客をする代理店、EA開発者、IBユーザー、FX業者が数多く確認されています。

これら集客者はマーケットから利益を得るのではなく、ユーザーの取引手数料からのキックバックでリターンを得ているため、利用者のリターンは収益に関係なかったりします。

プログラムも簡単なので、SNSでブランディングやステマをして収益化を目論む輩が非常に多いのが現状です。

マーチンゲールのよい面は、キレイな右肩上がりの収益チャートになることが一番に挙げられます。
SNSでも映えるね。

右肩上がりの資産チャートになっているのを見て、誰もが一度は期待に胸が膨らんだことでしょう。

ただ、現実には…

賭け方とマーケットの値動きの特性上、最終的には破産するものが非常に多いです。

つまり、だいたいこうなるわけです。

もちろん創意工夫で破産確率を下げることは可能ですが、賭け方に潜在的かつ大きなリスクがあるため限度があります。

顧客と利益相反するB-Book業者がこぞってIB集客者にナンピンマーチンゲールEAを与えるメリットがよく分かります。

利用者としては少額を入れて、利益が出たら資金を抜くのを繰り返すのであれば悪くはない手法だと思いますが、それって結局小銭稼ぎにしかなりません。

別にナンピンを否定するわけでもマーチンゲールを否定するわけでもないのですが、相場で使える賭け方って他にもあるのにほとんど知られていない気がしています。

この記事では、ナンピンマーチンゲール手法についての説明と、、

モンテカルロ法の紹介、自身が推す賭け方である分解モンテカルロ法の説明と、無料EAの紹介をします。

ナンピンマーチンゲールの危険性について

ナンピンマーチンゲールとは、含み損が出た場合にポジションを増やして平均取得単価を下げるという手法です。

この手法は、相場が反転して自分の予想通りに動けば利益が出るというメリットがありますが、相場が反転しない場合は損失が膨らんでしまうという大きなデメリットもあります。

ナンピンマーチンゲールの危険性は、以下のようにまとめられます。

破産リスクが高い

ナンピンマーチンゲールは、負けるたびにポジションを倍に増やすので、必要証拠金も含み損の額も指数関数的に増えるため、資金が底をつく可能性があります。

資金が足りなくなると、強制ロスカットされてしまうか、追加入金をしなければなりません。

相場の値動きは正規分布しない

ナンピンマーチンゲールは相場が自分の予想方向に動くことを前提としていますが、市場に不確実性はつきものです。

一方向に動き続けることもありますし、予想外のニュースやイベントで大きく変動することもあります。

現実の相場の動きを時間(縦軸)と変動幅(軸)でプロットすると、べき分布になることが知られています。

べき分布は裾野(テール)が広いのが特徴で、これは極端な変動が起こることが多いことを表しています。

Distribution Comparison Chart

ナンピンマーチンゲールを扱っていると、このテールリスクで破産する可能性が高いと言えます。

一度ポジションを持つと、想定方向の逆に相場が動いた場合、指数関数的に建玉を増やし続けなければならないためです。

心理的な負担が大きい

ナンピンマーチンゲールは、負けるたびにポジションを大幅に増やすので、心理的な負担が大きくなります。

損失が膨らんでいくのを見ていると、不安や恐怖にかられてしまうかもしれません。

一度ポジションを持ってしまったら、次にいつポジションを持つか、決済するかは分かりません。

運悪く、大きな経済指標が発表される時まで値動きがなくポジションを持ち続けるかもしれませんし、その経済指標でポジションが焼かれるかもしれません。

かといって、積み上がった損失ポジションを裁量で損切りできますか…?

マーチンゲールは連敗した際のリスクが大きい

マーチンゲール法は、負けたら賭け金を“倍”にするという方法です。

例えば、1ドルから始めた場合、負けたら2ドル、4ドル、8ドルと倍々に増やしていきます。

回数掛け金勝敗累積
11×$-1
22×$-3
34×$-7
48×$-15
516×$-31
632×$-63
764$1

マーチンゲール法は1回勝てば最初の金額分の利益が出るというメリットがありますが、負けが続くと賭け金が指数関数的に増えるというデメリットがあります。

マーチンゲールEAの資産チャートが急激に下落しがちなのはこの賭け方からくる仕様です。

ナンピンマーチンゲールだと、一方向に相場が動いた場合にリカバーが効かなくなる場合が多く、先述したとおり、相場は短時間で一方向に進みがちです。

モンテカルロ法は連敗に強い賭け方

マーチンゲールとは似て非なる賭け方の一つに、モンテカルロ法があります。(モンテカルロシュミレーションとは別のものです)

モンテカルロ法とマーチンゲール法は、どちらも負けたら賭け金を増やすという共通点がありますが、増やし方が異なります。

例えば、1,2,3という数列から始めて負けたら4ドル(1+3)、さらに負けたら5ドル(1+4)、6ドル(2+4)と増やしていきます。

勝ったら両サイドの数字を削除し、次のゲームでは左端と右端の合計を賭けます。

数列がなくなったら、はじめの数列から繰り返しです。

回数数列掛け金勝敗累積結果
11,2,3$4×$-4
21,2,3,4$5×$-9
31,2,3,4,5$6×$-15
41,2,3,4,5,6$7×$-22
51,2,3,4,5,6,7$8$-14
62,3,4,5,6$8$-6
73,4,5$8$2

モンテカルロ法は連敗に強いですが、期待値は高くありません。

また、最後に残る数字によっては一回転してもマイナスになることもあります。

勝ちが負けより少なくても利益を出すことができますが、4からスタートしなければならないという縛りと、1セットの期待値を正確に測れないというデメリットもあります。

このデメリットは、後に記述する分解モンテカルロ法でカバーできます。

モンテカルロ法とマーチンゲール法の違いは、以下のようにまとめることができます。

マーチンゲール法モンテカルロ法
賭け金の増やし方負けたら倍にする負けたら数列の左端と右端の合計を賭ける
1回の勝利で
損失を取り戻せるか
取り戻せる取り戻せないことが多い
賭け金の上昇速度速い遅い
必要な資金大きい小さい
破産確率高い低い

どちらの方法も一長一短がありますが、モンテカルロ法はマーチンゲール法よりも資金管理がしやすく、リスクが低いと言えます。

もちろん、どちらも必ず勝てるわけではないため、注意は必要です。

モンテカルロ法は爆発的に資金を増やしたいと考えているギャンブラーには向いていません。

分解モンテカルロ法について

モンテカルロ法のデメリットとして、4からスタートしなければならない縛りと、1セットの勝利では損失を取り戻せないことが多いというデメリットがあります。

そのデメリットを解消した手法が「分解モンテカルロ法」です。

この手法はict119.comさんが提案されたもので、リンク先ではシュミレーションのコードまで公開されています。詳しく知りたい方はリンク先を参照してください。

通常のモンテカルロ法は4からスタートしなければならない縛りがありますが、その改善として、数列を0,1からスタートし、足す数字を1からスタートする(0+1=1)ことで、最小単位でのベッドを実現しています。

1セットの勝利では損失を取り戻せないことが多いというデメリットに対しては、数列1つ数字が残っている場合は数列をリセットせず、その数字を二つに分解して、ゲームを続行することで、1セット終わった際の期待値をプラスにもっていきます。

例えば、数列の数字が9だけだった場合、従来のモンテカルロ法はそこでいったん数列をリセットしていましたが、分解モンテカルロ法では(9)→(4,5)と、なるべく均等になるように分解します。

回数数列掛け金勝敗累積
10,11×-1
20,1,11×-2
30,1,1,11×-3
40,1,1,1,11-2
51,1,12×-4
61,1,1,23×-7
71,1,1,2,34×-11
81,1,1,2,3,45-6
91,1,2,34×-10
101,1,2,3,45-5
111,2,34-1
122→1,12×-3
131,1,230
141→0,111

分解モンテカルロ法では連敗に強いのはそのままに、数列が一巡すると、最初に賭けた値が回収されます。

分解モンテカルロ法をFXで用いるメリット

分解モンテカルロ法は賭け方の特性上、連敗に強く、破産確率がマーチンゲールと比較するとかなり低いという特性があります。

初回から連敗しても掛け金が増えない賭け方なので、例えばブレイクアウトやトレンドフォロータイプの売買法と組み合わせることで、トレンド発生の“ダマシ”での損失を抑えることができ、リカバリーファクターが向上します。

結果として、獲得Pipsがマイナスでも、勝率が50%を切っても利益を残すことが可能です。

分解モンテカルロ法は、ベキ分布する相場の値動きと相性が良いと言えます。

収益チャートはマーチンゲールに似た資産チャートを描きますが、マーチンゲールと比較するとDD率は圧倒的に低くなることが分かると思います。

このことは、下記に記載するフリーEAでバックテストを行うことで確認が可能です。

分解モンテカルロ法のデメリット

EAに組み込むのが大変。

ロットコントロールをライブラリ化したら流行るかな…?

分解モンテカルロ法を用いた無料EAについて

この記事の著者は3年ほど前から自作した分解モンテカルロ法を採用したEAを利用していますが、他人(有料)のライブラリを使っているので配布ができません…。

まぁ、広める必要はないかな、と思っていたのですが、つい最近いくつかのブログで取り上げられていることを確認して感銘を受け、この記事を書いています。

もしかしたら今後流行る…?という気がしないでもないので、非常に良質な記事とEAを公開しているChisikiさんに紹介してよいかと伺ったところ、快く承諾をいただけました。

EA配布ページは当記事の文末にリンクがあります。

非常に良質な記事:
【note】 FXを確率と資金管理だけの世界に変える
【note】分解モンテカルロ法の詳細解説

Chishikiさんも自身もEAのサポートは行いません。

人様のEAなので設定について語るのは恐れ多いのですが、TPとSLの値と勝率を重視することが大切です。

ぜひバックテストを行い、分解モンテカルロ法の優位性を確認・検討してみてください。

TPとSLの設定が重要であるため、利用する場合はできるだけスプレッドを含む取引コストがかからない業者を選ぶ必要があります。

FX業者に関するキャッシュバックサイトを利用したことがない方は、この機会に是非TariTali!(ChishikiさんAD)を検討してみてください。

分解モンテカルロ法採用EA Move-Catcher(MT4 Free)配布ページ:
【note】趣味垢作りました