2023年3月現在、

ネットを検索すると「アービトラージできる環境はもうない」「利益が出ても出金拒否や口座凍結される」という意見が大勢です。

結論から先にいうと、アービトラージできる環境は少なくなったものの存在します。

利益が出ている人間は新規参入者を避けたいですし、過去に利益を出せていた人でも業者の対策が進んだ今では簡単に利益を得ることができません。

そのため、アービトラージで利益を上げている人は「できない」と答えますし、過去に利益を得たことがある人も「できない」と答えますし、酸っぱい葡萄を得られないひとも「できない」と答えます。

現在のアービトラージ環境はどうなのか、利益を得る方法は残されているのか、最新情報と共に解説します。

アービトラージはなぜ業者に嫌われるのか

業者の規約によって禁止されることは多いですが、アービトラージは違法ではありません。
しかしながら、多くのFX業者側からすると問題のある取引と言えます。

顧客と利益相反するB-Book運営の業者からすれば、アービトラージに限らず全ての利益を出すトレード手法は敵になります。

敵と認識されれば、利益の没収やアカウントの強制停止の可能性は高まります。

顧客と利益相反のないA-Book運営の業者としても、アービトラージは問題視されることがあります。

A-Book運営では全ての注文を即座にヘッジする業者の総称ですが、ヘッジ先のシステムはそれぞれです。

全ての注文を匿名ECNに流すシステムであれば何の問題もありませんが、個別に流動性プロバイダー(以下LP)を契約している場合では問題が発生する場合があります。

近年では匿名ECNの気配値や取引手数料よりもタイトなスプレッドを直接提供することで利益を出すマーケットメーカーが増えました。

このタイプのマーケットメーカーは元々B-Book業者を運営していた資本がLPとしてマーケットメーカーに転身した場合が多く、アービトラージには敏感です。

A-Book業者でも個別契約のLPから嫌われるとタイトなスプレッド顧客に提供しにくくなる側面があるため、アービトラージャーを排除する傾向があります。

しかしながら、業者の言い訳を鵜呑みにしてはいけません。
そもそもB-BookなのにA-Bookのフリをする業者が多すぎるのです。

利益の取り消しや出金を渋る業者の言う「LPがうんたらかんたら」はまず嘘です。
FX業者はトレーダーにとって敵になることはあっても、味方になることはまずありません。

ゼロサムゲームにおいてカウンターパーティーとは常に利益相反するものであり、LPを優先する選択をする時点で、その業者は敵だと認識するのがベターです。

現状として、アービトラージを歓迎する業者はゼロと言っても過言ではありません。
そのため、ユーザーとしてはアービトラージ取引に鈍感な業者を選択し、アービトラージを通常取引のように偽装する必要があります。

FXにおけるアービトラージの種類

FXにおいて利益を出すことが可能なアービトラージの種類は以下の5種類のみです。

  1. SWAPアービトラージ
  2. トライアングルアービトラージ
  3. レイテンシーアービトラージ
  4. 指標アービトラージ
  5. ボーナスアービトラージ

1.SWAPアービトラージ

SWAPアービトラージはFX業者間で異なるSWAP金額の差を利用して利益を得る方法です。
この方法で得られる利益は少ないですが、現在でも可能です。

むしろ、利益を得るための環境は良くなったと言えるかもしれません。

SWAPアービトラージの最大のリスクは、価格変動があった場合に両建てした一方のFX業者の証拠金維持率が減少し、ポジションの解消もしくは証拠金の追加を余儀なくされることです。

ポジションを決済するとSWAPが得られなくなりますし、送金するにも手数料が発生します。
銀行送金手数料を考えると想定リターンはおのずと低くなるため、SWAPアービトラージはいまいち現実的ではないと思われてきました。

しかしながらパンデミック以後、環境は大幅に変わりました。

入出金に暗号通貨を採用する業者を用いれば送金手数料は大幅な圧縮が可能ですし、物価高に対抗するための利上げを米国を始めとする先進国が採用しているにも関わらず、日本は低金利で金融緩和を継続しています。

そのため、ドル円のようなスプレッドが非常に狭い通貨ペアでもリターンが見込める金利差が発生しています。
2023年3月現在、業者選択さえ間違えなければ、誰でも利益が得られる状況になっています。

SWAPの表記仕様は Pips表記/パーセント表記/証拠金通貨表記/ の三種類が存在するため、正確に把握する必要があります。

2.トライアングルアービトラージ

トライアングルアービトラージとは、3つの通貨ペアの取引レートにズレが発生したタイミングを狙った手法です。

具体的には、ドル・円・ユーロでセットアップする場合では USD/JPY, EUR/JPY, EUR/USD の価格を監視し、ズレが発生した瞬間に3つのポジションを持ちます。

実際にはこのアービトラージで大きな利益を得ることは望めません。
3つのポジションを持つということは、それぞれに取引手数料・スプレッド・スリッページのコストとリスクが発生することになり、それらを上回るリターンが発生する機会は非常に稀です。

経済指標発表時やロールオーバーの朝方レートでズレが発生している場合もありますが、いずれも執行リスクが非常に高く、損をする可能性のほうが高いと言えます。
デモ環境では上手くいくと思われますが、リアル環境ではまず損をします。

3.指標アービトラージ

指標アービトラージとは、あらかじめ発注条件を設定し、経済指標が発表される瞬間に結果を高速プログラムで読み込むことで条件通りのオーダーを瞬間的に行う取引です。

正確に言えばアービトラージではなく、単なる高速取引です。

経済指標発表予定表を見た際に「予測値」を見たことがある方もいるかもしれません。
この予測値とは、ブルームバーグ端末を使う数多くのアナリスト予測の中央値になります。

この予測値は、言い換えれば “織り込み済みの値” ということになり、この値と実際の数字に乖離があれば、それがマーケットインパクトとして値動きが発生します。

ソフトウェアとしてはSNWが先駆けとなり、一時はフリーソフトも存在しました。
著者も恩恵を受けましたし、青汁○子や某有名株クラスタもこの取引で大金を得ています。

現在SNWは閉鎖していますが、中心開発人物が独立し最速ソフトがひっそりと有料公開されています。
取引環境に非常に高いランニングコストをかけられるのであればリターンを得ることができます。

4.ボーナスアービトラージ

海外FXでよく見かける入金ボーナスや取引ボーナスを用いて証拠金を増やし、複数の業者を使って両建取引をすることでボーナス額を利益に変える手法です。

業者ごとにボーナスの条件が異なりますので手法は業者に合わせて最適化する必要がありますが、露骨な高速取引等を行わず、禁止事項を守っていればうまくいく可能性はあります。

利益が出た業者に出金依頼をかけると事実上のイチャモンをつけてきて利益の取り消しをされる場合が多々あるので、推奨はできません。

イチャモン対策としては、両建ての際に同じ系列のテクノロジー/流動性プロバイダー(ISPrime, Leverate等)を利用しないことや、片方をA-Book業者にしてB-Book業者側では損をすることが考えられます。

いずれにせよ、業者規約のいいなりになるので、危険度は高いといえます。

5.レイテンシーアービトラージ

レイテンシーアービトラージとは、レート配信の速いFX業者を先行指標にすることで、レート配信の遅いFX業者に対して後出しジャンケン的なトレードを行う取引です。

現在でも利益を出すことは可能ですが、以前よりもハードルは高くなっています。

10年ほど前のMT4における発注仕様は、許容スリッページ制限を付加できるInstant Executionが主流だったため、非常に大きい利益を得ることが可能でした。

現在主流のMarket Executionでは許容スリッページ設定ができないどころか、オーダーパケットにクライアントソフトのレート情報すら乗っていません。

テクノロジーの進歩や業者の対策も進み、EAや純正クライアントを用いた環境ではレイテンシーアービトラージは速度的に成立しなくなりました。

そのため、スリッページリスクが非常に高くなっています。

全盛期には月に数千万円を稼ぐことも可能でしたが、レートが遅いけど約定させてくれる=B-Book業者
を相手にすることになるので、目立つ利益を出すと出金拒否リスクも非常に高まります。

しかしながら、うまく行けば最も利益が出るのがレイテンシーアービトラージの特徴でもあります。

上の履歴は著者が2022年にある業者で4営業日の間に出した利益になります。
入金した資金は200倍以上にすることができ、少し揉めたあと、無事に出金できました。

レイテンシーアービトラージはその異常な収益性の高さからユーザーの研鑽が進み、現在では主に3つの種類に分けられます。

1レッグアービトラージ

先行レートを参照し、レートの遅い業者に後出しジャンケン的にオーダーを流し、レートが追いつく0.1秒~数秒で決済。

保有時間が非常に短い取引内容になるため、業者側が見つけやすく利益没収になる確率が非常に高い手法。

2レッグアービトラージ

先行レートを参照し、レートの遅い業者を含む2社の業者に後出しジャンケン的にオーダーを流す。
先にレートの遅い業者に注文を出し、利益確保のオーダーをもう一方の業者に出す。

両建てを行うことによりポジション保有時間を伸ばし、業者からの発見を遅らせる手法。

Mixアービトラージ

2レッグアービトラージを発展させ、数多くのダミー取引を行い業者からの発見を遅らせる手法。

レートの遅い業者の約定で利益を出し、両建てでA-Book業者に利益を移行させることにより継続時間を伸ばす手法も含まれる手法。

海外FXアービトラージで利益を得るために必要なもの

2023年現在、
ボーナスアービトラージとSWAPアービトラージは比較的簡単に実現可能です。

約定力が求められるレイテンシーアービトラージや指標アービトラージにおいては、EAベースの執行速度で利益を上げることは非常に難しい状況です。

業者のレート更新速度が速くなったことに加え、MetaTraderの実行速度や仕様がボトルネックになっています。

海外FXアービトラージを実行するためには、直接サーバーと取引をする専用ソフトウェアを購入するか開発するしかありません。

著者は非常に多くのソフトウェアを見てきましたが、高価な割に機能しないソフトウェアが非常に多く存在します。

為替の先行指標としてはLMAXを超える業者は存在しませんが、日本居住者は口座開設できないため、LMAXレートの配信まで含めたパッケージが必要です。

ソフトウェアとしては“HFT Arbitrage Platform”がオススメです。

その上で、レートのズレが発生する業者を見つけることが最も重要であり、最も難しいと言えます。

約定に関する仕様が甘いB-Book業者で短期間に高額の利益を出せば、イチャモンをつけられて利益を没収されたり、強制的に口座解約されることになるでしょう。

両建てを用いて約定のよいB-Bookの業者からA-Bookの業者に利益を移し、口座の寿命を伸ばすことも大切です。

海外FXアービトラージで利益を得るために一番必要なものは、胆力もしくは調査力かもしれません。

FXアービトラージを追い求めた結果言えること


アービトラージで利益を出すためには手間もランニングコストもかかります。
環境への理解も必要ですし、地道な努力が必要です。

その努力を続けたとしても出金拒否には合いますし、裁量トレードの利益まで没収されることもよくあります。
なんていうか、ぜんぜんリスクフリーじゃない。

それでもやりたいって言うなら止めはしませんが、基本的に業者に関する情報交換はできません。

情報共有を巡って仲間内で揉めた話を聞いたのは一度や二度ではありません。

SWAPアービトラージであればある程度有益な情報を公開することもできるかもですが、それ以外の手法の具体的な業者情報はどうしても利益相反になってしまいます。

そのかわりと言っては何だけど、、
調査の過程で全然知られてない条件のいいA-Bookの業者を数多く見つけることができました。

当然ですが取引コストは低いほうが勝ちやすく、それらの業者のおかげで多くの利益を出し続けられるようになりました。

いいA-Bookに潰れられると困るので、よければ使ってやってください。